
技術情報
フレーム・ブラケット
アンカーブラケットとは
アンカーブラケットとは、フレームと床に機械を固定するために使用する支持具、取付け金具のことです。機械の脚部に取り付けられたアジャスターボルトやレベリングブロックと床面を連結し、アンカーボルトによって固定することで、機械全体の安定性を確保します。その最も重要な役割は、機械の転倒防止と位置ずれの抑制です。特に、地震発生時の揺れによる機械の移動や転倒は、生産ラインの停止だけでなく、重大な労働災害や設備の破損に直結します。アンカーブラケットによる適切な固定は、BCPの観点からも極めて重要です。
アンカーブラケットの選び方
アンカーブラケットの性能を最大限に引き出すためには、使用環境や機械の仕様に合わせて最適なものを選定する必要があります。ここでは、選定における3つの重要な技術的ポイント「材質」「形状」「板厚」について深掘りして解説します。
アンカーブラケットの厚み
アンカーブラケットの板厚は、機械の重量を支え、外部からの力に耐えるための強度を確保する上で決定的な要素です。一般的に、6mm厚は比較的軽量な機械や制御盤、作業台などの固定に使用されます。一方、9mm厚は、マシニングセンタやプレス機など、重量があり、稼働時の振動も大きい機械に適しています。この板厚は、断面積と材質の降伏点によって決まります。機械の重量や地震時に発生する水平方向の力に対して、アンカーブラケットが変形・破壊しないだけの許容荷重を持っているかどうかが重要になります。特に重量物の場合、簡易的な強度計算を行い、安全性を検証することが推奨されます。9mmか6mmが一般的ですが、機械の重量によって厚みを変更する必要があり、当社では特注対応も承っております。
アンカーブラケットの形状
アンカーブラケットの形状は、機械の脚部の構造や設置場所の条件によって決定されます。機械を設置する際、アジャスターボルトによってレベル調整が行われます。この調整量によって、機械のフレーム下端と床面との間にクリアランスが生じます。アンカーブラケットは、このクリアランスを正確に埋め、フレームと床面を確実に連結できる高さと形状である必要があります。低床型の機械であればL字型のシンプルな形状で対応できますが、コンベアラインのように床から高い位置にフレームがある場合は、高さのある特殊な形状のブラケットが必要となります。また、アンカーブラケットを床に固定するアンカーボルトの穴位置は、極めて重要です。機械の重量や想定される外力に応じて、必要なアンカーボルトの本数が決まり、それに対応する数のアンカー穴が必要となります。
アンカーブラケットの材質
アンカーブラケットの材質は、耐久性やコストを決定づける根幹的な要素です。一般的に最も広く使用される材質です。SS400は、コストパフォーマンスに優れ、高い強度と加工性の良さを両立しています。ただし、耐食性は低いため、錆の発生を防ぐために表面処理が不可欠です。耐食性を求める場合は、ステンレスが採用されます。表面に形成される強固な不動態皮膜により、水分や化学薬品に強く、錆の発生を長期間抑制します。そのため、食品工場や薬品工場、クリーンルーム内など、衛生管理が厳しく、錆を嫌う環境に設置される機械に最適です。鉄に比べてコストは高くなりますが、メンテナンス性の向上や長寿命化により、トータルコストを抑制できる場合があります。
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