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アジャスターボルト選定のポイント

アジャスターボルトは、機械や装置の足元を支え、水平を保つための極めて重要な部品です。単に「機械の脚」と捉えられがちですが、その選定を誤ると、装置の性能低下や不安定化、さらには安全上のリスクにまで直結します。装置の価値を最大限に引き出すための、アジャスターボルト選定における重要なポイントは大きく4点あります。

最重要項目である耐荷重と高さ

まず最初に、装置の基本的な仕様からアジャスターボルトの骨格を決定します。

機械の総重量から「耐荷重」を算出する

アジャスターボルト1本あたりが支えられる垂直荷重(静荷重)を耐荷重と呼びます。選定における最も基本的な項目であり、機械の総重量を支点となる脚の本数で割って算出します。例えば、総重量1000kgの装置を4本脚で支える場合、単純計算では1本あたり250kgの耐荷重が必要となります。しかし、実際には装置の重心や床面の状態で、各脚にかかる荷重は均等ではありません。そのため、安全率を考慮し、総重量を3点で支える計算(1000kg ÷ 3 = 約334kg)とするか、総耐荷重が機械重量の1.5~2倍になるような余裕を持った選定が、安全上推奨されます。

設置条件に合わせた「高さ」を選定する

床から装置の底面まで、どの程度の高さが必要かも重要な要素です。ボルトの全長だけでなく、調整代がどの程度あるかを確認し、必要な高さを確保できる製品を選びます。ただし、ボルトを長く伸ばすほど安定性は低下するため、必要以上に長い製品は選ばず、最短で条件を満たすものを選定するのが基本です。

使用環境への適応する材質とベース仕様

次に、装置が置かれる環境に応じて、最適な材質やベース(受け皿)の仕様を選定します。

「材質」は使用環境で決まる

鉄は、一般的な工場環境で使用される、最もコストパフォーマンスに優れた材質です。表面には通常、耐食性を高めるための三価クロメートめっきなどが施されています。一方のステンレスは、衛生管理が厳しく求められる食品工場や医療・医薬品業界、あるいは水や薬品に触れる、錆を嫌う環境下では、耐食性に優れたステンレス製が必須となります。

ベースの「ラバー」の有無と「首振り機構」

ベース部分は、床面との接点として重要な役割を担います。ベースの底面にラバーが付いているタイプは、床面への傷つきを防止し、モーターなどから発生する微振動を吸収する軽防振の効果も期待できます。完全に水平ではない、傾斜のある床面に設置する場合には、ベース部分が傾きに追従する首振り機構付きのものが不可欠です。

安定性と安全性の確保する「軸径」と「アンカー固定」

最後に、装置の安定稼働と安全を確保するための仕様を決定します。

「シャフトの径」は横からの力で選ぶ

アジャスターボルトには、垂直荷重だけでなく、コンベアの送り出しや人の手による押し引きといった横方向からの力がかかる場合があります。シャフトが細いと、この横荷重によって曲がったり、最悪の場合は折れたりする危険性があります。横からの力が想定される場合は、耐荷重だけでなく、より太いシャフト径の製品を選定する必要があります。

「アンカー止め」で転倒を防止する

装置の背が高い、重心が高い、あるいは地震時の転倒リスクを考慮する場合には、ベース部分にある穴を使って床にアンカーボルトで固定する「アンカー止め」が可能なタイプを選定します。これは、装置の安定性を確保し、耐震安全性を高めるための最も確実な方法です。

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